A-1)月経痛が強い・月経の量が多いA-2)月経不順A-3)不正出血A-4)帯下(おりもの)A-5)外陰部の痒み、痛み、不快感
A-6)下腹部の不快感、痛みA-7)排尿時の不快感・排尿困難・尿漏れA-8)月経前に周期的におこる体調不良
 
A-1) 月経痛が強い・月経の量が多い
 月経痛が強いことを「月経困難症」、月経の量が多いことを「月経過多症」とよびます。はっきりと原因がみつかる場合とみつからない場合がありますが、前者を「器質性」、後者を「機能性」とよびます。

 月経困難症や月経過多症をおこす疾患の代表は「子宮筋腫」や「子宮腺筋症」、「子宮内膜症」などです。
「子宮筋腫」は子宮の筋肉の中に「平滑筋腫」とよばれる良性腫瘍のコブが出来る病気です。「子宮腺筋症」は後に述べる「子宮内膜症」の一種で、「子宮の内膜細胞が子宮の筋肉の中で増殖して子宮が大きくなったり、コブが出来たりする病気」です。子宮筋腫と腺筋症は、症状も治療法もほとんど同じです。
「子宮内膜症」は「子宮の内膜細胞が子宮の内腔以外の場所(腹膜など)で増殖する病気」です。重症になると骨盤全体が癒着をおこして固まってしまいます。
筋腫・腺筋症・内膜症
筋腫 腺筋症 MRI
こうした疾患の診断には、内診や超音波検査が有効です。またMRI検査を併用することでさらに正確な診断ができます。
子宮内膜症の診断には、腹腔鏡検査などが行われる場合もあります。
内膜症腹腔鏡
 筋腫や内膜症は、良性疾患であるため、小さくて症状もさほどないのなら治療せず経過観察をします。治療法には、原因疾患に対して薬物療法や手術療法を行う方法と、鎮痛薬の処方などで経過をみる方法とがあります。

 筋腫、腺筋症、内膜症に対しての薬物療法として、最もよく用いられているものは「Gn-RH作動薬」とよばれる薬を4〜6ヶ月間使用して半年ほど月経を止めてしまう方法(偽閉経療法)です。Gn-RH作動薬には毎日点鼻薬を使用する方法と、4週間に一度注射をする方法があります。子宮内膜症の患者さんにはGn-RH作動薬以外に低用量ピルやダナゾール、ジエノゲストという内服のホルモン剤も有効です。
子宮の手術 子宮筋腫の一般的な手術法は子宮全部を摘出する「単純子宮全摘術」ですが、出産のために子宮を温存する必要のある場合には筋腫のコブだけを摘出する「核出術」が行われます。ただし、核出術には術後の筋腫の再発や、術中の大量出血の可能性、次回妊娠まである程度の避妊期間(1年ほど)をまもる必要性、次回分娩時に帝王切開が必要になることが多いことなどのデメリットもあります。また筋腫のできている場所によっては核出操作が出来ない場合もあります。腺筋症ではこうした核出術は施行できません。肥厚した筋層を切除する特殊な手術を行うケースもありますが、原則的には単純子宮全摘術が基本手術になります。
子宮を摘出する手術には、お腹を切らずに膣から子宮を取る「膣式子宮全摘術」という方法もあります。この手術は術後の回復が早く、お腹に傷が残らないというメリットがあります。筋腫や腺筋症の手術では安全で確実に膣式手術を行うために、腹腔鏡を併用して膣式子宮全摘をする方法(腹腔鏡下膣式子宮全摘術)もあります。最近は腹腔鏡を用いた筋腫核出術も行われるようになってきました。その他、子宮鏡という内視鏡を使って子宮の内側にできた筋腫のコブを削り取る特殊な手術(レゼクトスコープ)もあります。
LAVH
なお、近年、筋腫に対して集束超音波をあてて、縮小させる方法(集束超音波治療=FUS)や、子宮の動脈に管を入れて、血管を塞ぐ薬を流し込んで血流を止めて筋腫を縮める方法(子宮動脈塞栓術=UAE)という特殊な治療なども、薬物療法や手術療法に代わる治療法として一部の施設で臨床応用されています。
内膜症の手術
子宮内膜症の手術には、子宮全摘術の他、内膜症の病巣だけを切除したり焼灼したりする方法などがあります。内膜症を完全に治してしまうためには子宮と卵巣を全部摘出してしまう方法もありますが、卵巣をすべて切除すると術後女性ホルモンの欠落が生じるため、健常部分は温存することが一般的です。内膜症の手術でも開腹手術の他に、腹腔鏡を使った手術があり、それぞれ患者さんの状態に合わせて選択されます。
腹腔鏡手術
 「機能性の月経困難症」は若年女性に多いものです。これは、妊娠出産を経ることによって改善することが多いため、鎮痛薬などの対症療法のみで経過を観察するケースが大半です。また、ピルの服用などでホルモンのバランスを調整することでこうした症状が改善することもあります。場合によっては、初期の子宮内膜症の存在を考慮して、Gn-RH作動薬を使用することもあります。

 「機能性の月経過多症」ではホルモンの異常などの原因がないかを調べるために、基礎体温測定やホルモン検査などが必要です。出血量の調整には、止血剤やピルなどのホルモン剤の服用が有効ですが、場合によってはGn-RH作動薬を使用することもあります。
 
A-2) 月経不順
正常な月経とは周期が25〜38日、周期の変動が6日以内、持続が3〜7日とされています。こうした規則的な月経周期がみられない状態が「月経不順」です。
月経は卵巣から分泌される性ホルモン(卵胞ホルモン、黄体ホルモン)の周期的な変動に子宮内膜が反応して出血がおこる現象です。
性周期とホルモン
性周期とホルモン
卵巣からの性ホルモンの分泌は、脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンによって調節されています。脳下垂体はさらに間脳の視床下部によってコントロールされています。このようなホルモンの調節機能の失調により月経不順は生じます。このうち最も多いものは視床下部のホルモン調節機能の失調です。

月経不順は様々な肉体的、精神的ストレスでも生じます。視床下部がこうしたストレスの影響を強くうけるからです。色々な薬を常用されている方は、そうした薬剤の影響で月経不順がおこることもあります。こうしたことが原因になっている場合には、その要因を取り除くだけで症状は改善します。

月経不順の患者さんで大切な検査は、基礎体温や血中のホルモン測定などです。少しくらい月経が不順でもこうした検査で問題がなければ、たいていは心配ありません。逆にこうした検査で異常がみられる場合には、治療が必要になります。ホルモンのバランスを調節する薬や、月経を調節するための性ホルモン剤、場合によっては排卵誘発剤などが処方されます。月経周期を調節したり性ホルモンを補充する目的には、ピルの服用が効果的です。

月経不順を放置すると、子宮体癌などの誘因になることもあります。また卵巣の機能が衰えている場合には、若い女性でも更年期障害のような症状がおこり、全身機能の「老化」が進みやすくなります。女性の健康は、月経が周期的に訪れてこそ正調に保たれるのです。
 
A-3) 不正出血
「不正出血」には、ホルモンのバランスの失調などによる「機能性」のものと、子宮などの病気が原因となっている「器質的」のものとがあります。
不正出血
機能性出血は、一時的なものであれば特に治療を要しません。様々なストレスによるホルモンの変動などはよく経験されることです。また「中間期出血(月経周期の中頃におこるホルモンの変動によって生じる出血)」なども病的なものではありません。一般的に機能性出血の場合は、出血が軽度であれば経過を見るか、軽い止血剤だけを処方し、出血の程度の強い場合のみホルモン剤などを処方して出血をコントロールします。ただし一番大切なのは、後に述べる器質的な不正出血を鑑別すること、特に「子宮癌」などの悪性疾患を否定することです。そのため不正出血のある患者さんには、内診と子宮癌の検査をうけていただいくことをお勧めしています。

器質的な不正出血の原因になる病気には「膣炎」、「膣部びらん」、「頚管ポリープ」、「子宮筋腫」などの良性疾患の他に、「子宮頚癌」や「子宮体癌」などの悪性疾患も考えられます。セックスした後に生じる出血(接触出血)などは子宮頚癌の症状として重要ですし、閉経後の不正出血は子宮体癌の症状のひとつです。子宮癌のスメア検査は、内診時に綿棒やチューブなどで子宮の細胞を採取する簡単なものです。子宮癌は早期に治療すれば100%近く治る病気ですので、不正出血に気付かれた場合には、すぐに婦人科を受診して下さい。

なお、上に挙げた婦人科疾患以外に「流産」や「子宮外妊娠」などの異常妊娠が出血の原因となっていることもあります。妊娠の可能性のある場合には診察時に必ず担当医におっしゃって下さい。
 
A-4) 帯下(おりもの)
 体質的に子宮頚管からの分泌物が多い人は日頃から帯下(おりもの)感を覚えるものですが、けして病気ではありません。また、帯下は正常の女性でも月経周期の中頃(排卵期)には増加します。病的帯下の原因として最も多いものは「膣炎」です。帯下の原因としては他に「頚管ポリープ」や「膣部びらん」さらに「子宮癌」などがありますが、ここでは膣炎を中心に解説します。
 ヨーグルトやチーズの粕のような帯下と外陰部の痒みは「カンジダ膣炎」の症状です。カンジダとは真菌(カビ)の一種で、健康な女性の膣の中にもしばしばみられる病原体です。これが体の抵抗力が落ちた時や、抗生物質などの薬をたくさん飲んだ時、妊娠中などに繁殖して膣や外陰部の炎症をおこすのです。糖尿病の患者さんなどはこうした炎症を繰り返すことがあります。また、ステロイドホルモンの入った薬はカンジダ感染を悪化させます。カンジダに対する治療は抗真菌剤の膣坐薬やクリームなどの局所療法が主体です。

 黄色く泡立つような帯下と痒みは「トリコモナス膣炎」の特徴です。トリコモナスは原虫とよばれる微生物で、セックス以外の経路で感染することもありますが、性行為感染の病原体として重要です。帯下を顕微鏡で観察することだけで、たいていは診断可能です。治療法は駆虫剤の膣坐薬や内服薬などです。

 水っぽい(時に膿のような)帯下は「クラミジア感染」による炎症でおこることがあります。クラミジアとは細菌の一種ですが、近年若年者を中心に流行している性行為感染症です。クラミジア感染の検査には、子宮頚部の細胞を綿棒で採取して病原体の有無を調べる方法や、血液検査で抗体を測定する方法があります。治療には抗生物質の内服が必要です。

 閉経後に起こる膣炎の多くは「萎縮性膣炎(老人性膣炎)」とよばれるものです。これは卵巣から分泌される女性ホルモンの低下によって、膣の壁が弱くなって炎症をおこしたものです。帯下や外陰部の痛み、痒み、時に出血などの症状を呈しますが、女性ホルモンの膣坐薬や内服薬などが奏効します。

 上記以外の膣炎はいわゆる「雑菌」によるものがほとんどです。抗生物質の膣坐薬などの使用が効果的です。
 
A-5) 外陰部の痒み、痛み、不快感
痒みや痛みを伴う外陰炎で一番多いものは「カンジダ」による炎症です。カンジダとは真菌(カビ)の一種で、ヨーグルトやチーズの粕のような帯下と痒みが主症状です。体の抵抗力が落ちた時や、抗生物質などの薬をたくさん飲んだ時、妊娠中や糖尿病の患者さんなどに炎症をおこしやすく、また、ステロイドホルモンの入った薬は感染を悪化させます。治療は抗真菌剤の膣坐薬やクリームなどの局所療法が主体です。
性器ヘルペス黄色く泡立つような帯下と痒みは「トリコモナス」による炎症の特徴です。トリコモナスは原虫とよばれる微生物で、性行為感染の病原体として重要ですが、性行為以外の経路で感染することもあります。治療法は駆虫剤の膣坐薬や内服薬などです。

 外陰部に激しい痛みを伴う炎症としては「性器ヘルペス」が重要です。これは「単純ヘルペスウイルス」というウイルスによっておこる性行為感染症のひとつで、外陰部に浅い潰瘍が多発し、しばしば歩行不能になるほどの激しい痛みをおこします。抗ウイルス薬の内服や点滴が、治癒を早めるために有効です。
尖形コンジローマ 外陰部に小さな「イボ」が多発する病気に「尖形(尖圭)コンジローマ」という疾患があります。これは「ヒト乳頭腫ウイルス」というウイルスによっておこる性行為感染症です。治療は外科的にイボを切除する方法が主体ですが、補助的に塗り薬を使用することもあります。
バルトリン腺嚢腫・造袋術 膣の口付近に腫れ物が出来た時は「バルトリン腺嚢腫(膿瘍)」が考えられます。バルトリン腺とは、膣の入り口(両脇)に左右ひとつずつ存在する粘液の分泌腺ですが、この開口部が炎症などで詰まってしまった場合に、ここに粘液の溜まった袋が出来ます。これがバルトリン腺嚢腫です。膿が溜まるとバルトリン腺膿瘍とよばれ、強い痛みが生じます。バルトリン腺嚢腫(膿瘍)の治療のためには、溜まった粘液や膿を抜かねばなりません。太い注射針などを使って内容物を穿刺したり、「造袋術」という手術をしたりします。造袋術とは「バルトリン腺の袋と皮膚の間に粘液の抜ける孔を作る手術」で、通常局所麻酔の外来手術で可能です。
閉経後の女性では、しばしば頑固な外陰部不快感(乾燥感、帯下、傷みやかゆみ)などがおこることがあります。その多くは 老人性(萎縮性)膣炎・外陰炎といって、女性ホルモンの低下による症状です。この場合は女性ホルモン剤の膣座薬や内服薬などが効果的です。また炎症とは別に、老化現象にともなう皮膚の萎縮乾燥は、かゆみなどの原因となります。この場合は保湿作用のある外用薬の塗布が有効です。

 こうした病気以外にも、外陰部は様々な細菌の感染などで「膿瘍」(いわゆる『おでき』)が出来やすい場所です。また脂肪や線維などで出来た良性の腫瘍もしばしば見られるものです。
 
A-6) 下腹部の不快感、痛み
下腹痛
「卵巣腫瘍」は初期には無症状のことが多く、突然に下腹痛などの症状で気付かれることがあります。卵巣腫瘍はかなり大きいものでも自覚症状の無いことも多く、また若年女性にも多い腫瘍のひとつです。下腹部の不快感や膨満感などのある方は一度婦人科の診察をお受けになることをおすすめします。

卵巣腫瘍で一番多いものは、いわゆる「卵巣嚢腫」です。これは卵巣に液体がたまった良性腫瘍のことです。貯留する液体成分は、漿液や粘液の他、子宮内膜症によって古い血液が貯留する「チョコレート嚢腫」や、卵子の細胞が腫瘍性の増殖をおこして卵巣の中に油のまじった液体や皮膚、毛髪、歯、骨などの組織が形成される「皮様嚢腫」などがあります。このような良性腫瘍と、「卵巣癌」との鑑別には、超音波やMRIといった画像診断法や血液検査による腫瘍マーカー測定などが有効です。

卵巣の良性腫瘍(卵巣嚢腫など)は、小さくて症状のないものであれば手術をせずに経過をみることが一般的です。手術適応になるのは悪性が疑われる場合、痛みなどの症状がある場合、大きさが鶏の玉子(5cm)をこえる場合などです。
卵巣腫瘍の手術法はその切除範囲によって様々なバリエーションがありますが、良性腫瘍に関しては正常な組織を出来るだけ温存する術式を選択するのが原則です。悪性腫瘍では卵巣・卵管の摘出、病期に応じて子宮摘出やリンパ節郭清等の拡大手術、さらに術後の化学療法などの必要があります。
卵巣腫瘍の手術
卵巣腫瘍の手術にはお腹を切開する開腹術と、腹腔鏡を使う方法があります。 腹腔鏡手術
腹腔鏡手術は、お腹に数箇所小さな孔を開けるだけで行う手術で、開腹術に比べて体への負担が軽く、術後の回復も早く、傷跡も目立たないというメリットがあります。
開腹術と腹腔鏡手術
「卵管炎」や「骨盤腹膜炎」などの炎症疾患も下腹痛、下腹部不快感などの原因として重要です。特に最近は「クラミジア感染症」という性行為感染症が骨盤内炎症の原因菌として流行しています。診断にあたっては内診の他に、細菌学的な検査が重要になります。クラミジア感染の検査には、子宮頚部の細胞を綿棒で採取して病原体の有無を調べる方法や血液検査で抗体を測定する方法があります。治療には抗生物質が必要です。
内膜症腹腔鏡「子宮内膜症」は月経痛や下腹部の鈍痛、性交痛、腰痛や排便痛、肛門・会陰部痛など様々な症状をひきおこします。子宮内膜症とは「子宮の内膜細胞が子宮の内腔以外の場所(腹膜など)で増殖する病気」で、重症になると骨盤全体が癒着をおこして固まってしまいます。近年20代の若年女性にも増加傾向にある疾患で、不妊症の原因としても重要です。内診や超音波、MRI検査、場合により腹腔鏡などの検査が必要となりますが、血中のCA125という物質の測定も診断の参考になります。治療は、Gn-RH作動薬」とよばれる薬を半年ほど使用して一時的に月経を止めてしまう方法(偽閉経療法)が一般的です。Gn-RH作動薬には毎日点鼻薬を使用する方法と、4週間に一度注射をする方法があります。副作用などでGn-RH作動薬が使えない患者さんにはダナゾールや、ジエノゲストという内服のホルモン剤を使用することもあります。また、低用量ピルは内膜症の症状の緩和と病巣の縮小に効果的です。避妊目的のピルには保険がききませんが、内膜症の治療に関しては、保険適応のあるピルの製剤もあります。薬物療法で十分な効果が得られない場合には手術療法が必要となることがります。
内膜症の手術
「子宮筋腫」や「子宮腺筋症」などは月経痛をおこす疾患として重要ですが、月経時以外にも下腹部の不快感や腫瘤感などの原因となります。内診や超音波検査で診断されます。これらの疾患に関しては「A-1月経痛が強い、月経の量が多い」の項を御参照下さい。
上に挙げたような疾患以外に、月経周期と関連する腹部症状があります。たとえば排卵日には軽い下腹痛(「排卵痛」)がみられることがありますが、程度の軽いものであれば心配ありません。また、排卵後から月経までの間は下腹部の不快感などがおこりやすい時期です。こうした時期に様々な不定愁訴が起こる「月経前症候群」とよばれる疾患がありますが、これについては「A-8 月経前に周期的におこる体調不良」をご覧ください。

なお、「流産」や「子宮外妊娠」などが腹痛の原因となっている可能性もあります。妊娠の可能性のある患者さんは必ず診察時におっしゃって下さい。
 
A-7) 排尿時の不快感・排尿困難・尿漏れ
 排尿時の不快感、痛み、残尿感、頻尿などは「膀胱炎」の症状です。抗生物質の内服などでたいていは数日で完治しますが、慢性的にこうした症状がみられる場合には、糖尿病などの内科疾患や精神的な要因が関与している場合もあります。また、間質性膀胱炎という抗生物質の効かない特殊な膀胱炎である場合もあります。
閉経後には加齢とともに骨盤の組織が緩んで子宮が下がってくることがあります。程度の軽いものを「子宮下垂」、強いものを「子宮脱」とよびます。子宮が下がると、膀胱や尿道もともに下垂するため、それにともなって 尿の出が悪くなったり、漏れやすくなったりすることがあります。
子宮脱
ペッサリー子宮脱を根本的に治すためには手術が必要です。代表的な方法は膣から子宮を摘除して、緩んでいる膣の壁とその周りの組織を縫い縮めたり、さらに補強剤を用いて断端を吊り上げたりする手術です。また手術療法以外に、膣の中にリング状の装具(リングペッサリー)を挿入して子宮が下がるのをおさえておく方法もあります。手術を希望されない患者さんや合併症などで手術の出来ない患者さんには良い方法でしょう。
また、閉経期以後は、排尿をコントロールする筋肉の動きや神経の働きが鈍ってくるために 尿が漏れる、尿のキレが悪い といった排尿トラブルがおこりやすくなってきます。
こうした症状に対しては薬剤療法も有効ですが、尿道の周りの筋肉を鍛える体操(骨盤底筋群体操)をすることも効果的です。
 
A-8) 月経前に周期的におこる体調不良
「月経前になると体調が悪くなる」とおっしゃられる患者さんは多いものです。これはホルモンの変化によっておこる症状で、月経前症候群(PMS)とよばれています。症状は、下腹部の膨満感、下腹痛、頭痛、体のむくみや体重増加、乳房緊満感、乳房痛、イライラや不安、抑うつなどの神経症状など多彩です。これらは通常、月経の3〜10日前にはじまり、月経とともに軽快・消失します。アンケート調査によると、女性の8割に多かれ少なかれこうした症状がみられるといわれています。

月経前症候群は、ホルモンの変動にともなう女性の生理的な体調変化なので、病気であるといえば病気なのですが、正常反応のひとつともいえます。基礎体温をつけて体のホルモン状態の変化を記録し、毎周期どのあたりから体調が悪くなるかを知ることは、ストレスをさけて辛い日をやりすごす生活をする助けになるでしょう。適度な運動やリラクセーションで緊張とストレスをほぐすことも効果的です。刺激物やアルコール、カフェインや塩分や脂肪分の高い食べ物は症状を悪化させることがあるのでさけましょう。それでも軽快しない時には、薬を服用することが有効です。たとえばイライラを抑える精神安定剤、体のむくみを取る利用剤、場合によりピルなどの服用で症状が軽快することもあります。
© 2006 IBARAKI LADIES CLINIC