Ibaraki Ladies' Clinic
「不正出血」には、ホルモンのバランスの失調などによる「機能性」のものと、
子宮などの病気が原因となっている「器質的」のものとがあります。
機能性出血は、一時的なものであれば特に治療を要しません。様々なストレスによるホルモンの変動などはよく経験されることです。また「中間期出血(月経周期の中頃におこるホルモンの変動によって生じる出血)」なども病的なものではありません。一般的に機能性出血の場合は、出血が軽度であれば経過を見るか、軽い止血剤だけを処方し、出血の程度の強い場合のみホルモン剤などを処方して出血をコントロールします。ただし一番大切なのは、後に述べる器質的な不正出血を鑑別すること、特に「子宮癌」などの悪性疾患を否定することです。そのため不正出血のある患者さんには、内診と子宮癌の検査をうけていただいくことをお勧めしています。子宮癌の検査は、細胞診、組織診などの病理学的検査が中心ですが、子宮癌の原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を調べることも、補助診断として重要です。
器質的な不正出血の原因になる病気には「膣炎」、「膣部びらん」、「頚管ポリープ」、「子宮筋腫」などの良性疾患の他に、「子宮頚癌」や「子宮体癌」などの悪性疾患も考えられます。セックスした後に生じる出血(接触出血)などは子宮頚癌の症状として重要ですし、閉経後の不正出血は子宮体癌の症状のひとつです。子宮癌のスメア検査は、内診時に綿棒やチューブなどで子宮の細胞を採取する簡単なものです。
子宮癌は早期に治療すれば100%近く治る病気ですので、不正出血に気付かれた場合には、すぐに婦人科を受診して下さい。
なお、上に挙げた婦人科疾患以外に「流産」や「子宮外妊娠」などの異常妊娠が出血の原因となっていることもあります。妊娠の可能性のある場合には診察時に必ず担当医におっしゃって下さい。